ずっと憎んできた。
自分たちを利用して生きる醜い大人たちを。
弱者に差し出される手などない冷たい世界を。
こんな汚いものならば、なくなってしまえばいい。
僕が、この手を振るえばすぐに壊せる、
そんなあっけない命の集まり。
なんの情も湧かない、なんの期待もすることはなかった。
白と黒、光と闇の境界線
輪廻転生。
人は生まれ変わって、様々な世界に生きる。
だけど、僕は知っていた。
どんなに輪廻を廻っても、世界が変わることはないと。
ずっと昔、与えられた忌々しい右目によって。
己のためなら平気で人を裏切り
己の力のためなら人を陥れ
己の安穏のために権力を振りかざす。
それが人間であり、この世の真理であるとそう思って生きてきた。
否、僕にとって、それこそが真実であった。
たったひとつ、それだけが。
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