儚
い
恋
「綱吉っ!」
「!来てくれたんだ、ありがとう」
「来るよ、当たり前でしょ?幼なじみの結婚式だもん」
「はは、そうだね。でも、まだ夢みたいだ」
「うん。あたしも綱吉が京子と結婚できるなんておもってなかった」
「相変わらず酷いなぁ…、俺、頑張ったんだよ?」
「そーだね。ダメツナなりにね。みんなホントびっくりしてたよー?」
「だから酷いってば…」
「ふふ、ちゃんと幸せにしてあげなよ?」
「…わかってる」
「京子も、綱吉も、あたしのだーいじな親友だから!ぁあー、スピーチなんて緊張しちゃうなぁ」
「に頼もう、って二人で決めてたんだ。だーいじな親友だからね?」
「もー。そーゆーとこ、可愛くなくなった!」
「可愛くなくていいよ!ま、期待してる」
「そーやってプレッシャーかけるー」
「あははっ、あ、もう行かなきゃ。準備できるだろうし」
「はぁい。緊張してこけないでよー」
綱吉。
昔とちっとも変わってないね。その幼馴染の私も、ちっとも変ってない。
ずっとずっと、綱吉を好きなまま。
超直感なんて言って、あたしの気持ちには、微塵も気付いてくれなかった。
そのほうが、良かったけど。
だから、だから悔しくて、悲しくて、苦しくてどうしようもない気持ちには蓋をするから。
明日から、忘れられるように頑張るから。
「綱吉っ!結婚、おめでとう!」
ちゃんと、笑えていますように。
本当のところ、告白してきたのは、京子ちゃんからだった。すごく、嬉しくて。
緩んだ顔を引き締められないまま、に真っ先に報告した。だって、長い間応援してくれてたから。
は、想像していた通り、自分のことみたいに喜んでくれた。
そして、結婚式を迎えるまでになって。
でも、なぜか俺の心は、晴れない。
気付いてしまったから。俺に本当に必要だったのはだって。
でも、いまさら引き返せない。
京子ちゃんはすぐそこ、純白に身を包んで恥ずかしげに立っている。
肩越しに見えたが、悲しそうなのが、気のせいじゃなかったらなんて、思ってしまう俺は、最低なんだろう。
私は、狡いと思う。
神父の言葉を聞きながら、そう思った。
ちゃんがツナ君を好きなのも、ツナ君が、本当はちゃんを好きなのも、分かってた。
それでも、今私はツナ君の隣に立って、誓いの言葉を吐いている。
ごめんなさい、二人とも。
神様はきっと、私を幸せにしてくれない。
はかなく散った、私の、恋心
だれも ほんとは しあわせじゃない なんて。