優 し い 思 い 出









 光が空を貫いた、そんな風に、白球は高く舞い上がって、強く日の光を反射しながらスタンドに吸い込まれた。
 一人、また一人とホームベースを踏み締めて、仲間のもとへと力強く向かっていく。
 最後にその嵐を巻き起こした人物を輪に抱えいれて。
 わぁっ、と息を殺していた観客が波打つ。歓声が、溢れかえるように弾ける。
 並盛は危機的状況を覆して、勝利を収めた。その名、山本武によって。 
 「ーっ!」
 「おつかれさま、武。おめでとう!」
 「おう!が応援してくれてっからな、負けらんねぇよ。そーだ、これ、」
 「え、これって」
 にかっと効果音が付きそうな程盛大に笑った武の手から、勝敗を決めたあの白球が私の手に移る。
 「お前の応援さ、聞こえたんだ!なんか、すっげぇはっきり。それで打てたって気がすんだ。だから、もらってくれよ。」
 「いいの?」
 「おぅ、まぁ、かわりに俺と付き合ってくれたらうれしいんだけどな!」
 
 「………え、」
 
 「俺、のこと好きみたいだ!」 







 「みたいってなに!」





 



 青と白と薄い桃色
       太陽のような彼と、恋、始めようか。