はやと。

 の心地よいソプラノが俺の鼓膜を揺らす。

 ぼーっとしてる俺に不審げな視線を投げかける仕草もやっぱかわいい・・っ、じゃねぇ、

 落ち着け、俺。平常心、平常心。




 「ねぇ、さっきから変だよ?」

 「別にんなことねぇよ」

 もう、と口をとがらせたあと、困ったようにが笑う。




 今日は、こいつの誕生日で。

 いつもあんまり構ってやれねぇし、今日くらいはと意気込んで、夢の国やら、レストランやら、

 所謂洒落たデートをしているわけだ。




 「珍しいよね。こんなところに連れてきてくれるなんて」

 「そうか?・・まぁ、あんま来ねぇよな」

 「あんま、っていうか一回も来たことないよう、誕生日だから、って言っても私、吃驚しちゃった」

 高かったんでしょ?と目線だけ周りを見回して不安げな顔。

 なんか、ちょっと傷つくぞ。

 俺だって別にそんぐらい稼いでるっつーの。

 そう言ったら、そうゆう意味じゃないって言われた。じゃあどういう意味なんだ。



 とは言っても、こんな一年も前から予約をしなきゃなんねぇ店を取ったのだって、理由はある。







 こいつ、と付き合って6年。




 まぁ、そろそろ良いんじゃねぇか、と思っているわけだ。

 ・・・・・その、け、け・・っこんとか、よ。



 つまり、プロポーズをしてやろう、ってのが俺の計画なわけで。







 「なぁ、」

 「んー?なぁに、隼人」

 「その、」





 あぁあああぁあああぁぁぁ、しっかりしろよ、俺!!!

 今更恥ずかしがる年でもねぇだろっ、もうあと一言じゃねぇか!





 ぐい、

 気合を入れなおそうとワインを煽る。これだって、の好みに合わせて甘めのを頼んでるんだ、



 補給に近寄るボーイに見えるようにグラスに手をかざす、もう一方でジャケットにある小さな、

 でもしっかりと重みのある箱を確かめながら。







 「はやと、「俺と、・・・・俺と、結婚してくれねぇか」

 ・・・・・・・・え・・?」







 ポカンとしたの顔を見て冷静になる頭、

 そっとふたを開けてリングを取り出して。








 獄寺になれよ、なんて囁いたらあっというまにの瞳は真っ赤になって滲んだ。








 「・・・・うん、・・・・幸せに、してくれる?」



 テーブルクロスに染みる涙を辿りながら、その体を引き寄せて。








 「当たり前だろ。」

 その目元にキスをひとつ。









 


 あなたを大切にします
   一生、守ってやるから。















あとがき

+10とか書いたけど獄寺がおもったよりあわあわしているぞ。
うん、でも10年後は大人になってるんだろうけどこういう肝心なところがだめだといいなとも思う。